偏食育児の救世主。息子が毎年楽しみにしているすももの話

育児

息子が小さかった頃、とにかく偏食がひどくて悩んでいました。

白いご飯すら食べない。

新しい食べ物は見ただけで拒否。

食卓に料理を並べた瞬間から「いらない!」と全力で嫌がり、なんとか一口食べてもそこで終了。頑張って作った料理もほとんど手を付けてもらえませんでした。

当時の私は毎日、「栄養は足りているんだろうか」と心配ばかりしていました。

今日は何なら食べるだろう。
明日はどうしよう。
次はどんな調理法を試そう。

そんなことばかり考えていて、何を作っても拒否される日々に少しノイローゼ気味になっていたと思います。

周りからは「そのうち食べるようになるよ」と言われても、毎日向き合っている親としては不安でたまりません。

だから当時は、栄養バランスなんてもう後回しでいいから、なんでもいい、自分から喜んで食べてくれるものがひとつでもあれば――そんな気持ちでした。

そして、そんな私たち親子を救ってくれたのが、夏の短い時期にしか出会えない「すもも」だったのです。


すももとの出会い

息子がすももと出会ったのは、いつものお散歩中でした。

当時の日課だった散歩コースの途中に、大きなすももの木があるお宅がありました。

夏になると、その木には真っ赤な実がたくさんなります。庭から歩道へ向かって枝を伸ばした木には、宝石のように赤く輝く実がたわわに実っていて、通るたびについ目を奪われていました。

ある日、いつものように親子でその木を眺めていると、家の方が声をかけてくださいました。

「誰も食べないから、好きに取っていっていいよ」

思いがけない言葉に驚きながらも、お言葉に甘えて息子と一緒に何個か収穫させてもらうことに。

今思えば恥ずかしいのですが、当時の私は「すもも」という果物をほとんど知りませんでした。

家に帰ってから、教えていただいた通りに薄い皮をむき、種の周りの実を包丁でそぎ落として器に盛り付けました。

正直なところ、あまり期待はしていませんでした。

あれだけ何を出しても食べなかった息子です。

きっとこれも食べないだろうな、と思いながらおそるおそる差し出しました。

すると――食べたのです。

しかも一口で終わらず、もっと欲しそうに。

その瞬間の驚きと嬉しさは、今でもよく覚えています。

「食べてくれた」

たったそれだけのことなのに、当時の私には本当に大きな出来事でした。

そしてその日を境に、息子はすももが大好きになりました。


あの木のすももを探して

すももが大好きになった息子ですが、実はその後ちょっとした問題がありました。

あの木になっていたすももと、なかなか同じ味に出会えなかったのです。

スーパーですももを見かけるたびに買ってみるものの、息子の反応はいまひとつ。

食べないわけではないけれど、あの時のような喜び方ではありませんでした。

よく見てみると、見た目も少し違う気がします。

色味も違うし、果肉の食感も違う。

甘さや酸味のバランスも、どこか違うようでした。

「あの時食べたすももは、いったい何だったんだろう?」

そんな疑問から、私はすももの品種を調べ始めました。

知らなかったのですが、すももにはたくさんの品種があります。

ネットで見つけたものを少しずつ取り寄せては家族で食べ比べること数年。

ようやく「あの味に近い!」と思えたのが『大石早生』でした。

大石早生は、梅雨から初夏にかけて旬を迎える早生品種です。

果肉はやわらかくてみずみずしく、甘さの中にほどよい酸味があります。

息子も初めて食べた瞬間、

「これ!」

と言わんばかりの勢いで夢中になって食べていました。

もちろん、あの木のすももとまったく同じかどうかは分かりません。

けれど我が家では、それ以来ずっと「息子が一番好きなすもも」として毎年楽しみにしている品種になりました。


今でも毎年取り寄せている「大石早生」

息子が大好きな大石早生。

旬の時期になると、毎年ネットで取り寄せています。

すももの旬は意外と短く、特に大石早生は初夏から梅雨の頃が食べ頃。その時期を逃すと、また来年までお預けです。

だから毎年販売が始まると、「そろそろ注文しないと」と少しそわそわします。

箱が届くと、息子は真っ先に中をのぞき込みます。

小さかった頃から変わらない姿を見ると、なんだか嬉しくなります。

息子に聞くと、大石早生の好きなところは「甘いだけじゃないところ」なんだそうです。

甘さの中にちゃんと酸味があって、そのバランスがちょうどいいらしい。

確かに、大石早生は甘ったるくなくて後味もさっぱりしています。

みずみずしくて、暑くなり始めるこの季節にぴったりの果物です。

偏食に悩んでいた頃は、「好きな食べ物がひとつでもあればいい」と思っていました。

それが今では、毎年家族で楽しみに待つ季節の恒例行事になりました。

あの日、お散歩中に出会ったすももが、こんなに長い付き合いになるなんて思ってもいませんでした。


熟しすぎたすももで作る簡単ゼリー

すももは傷みやすく、品種によってはとても足が早い果物です。

ネットやフリマアプリで購入すると、届く頃にはかなり熟していることもあります。

もちろんそのまま食べてもおいしいのですが、柔らかくなりすぎてしまった時に我が家でよく作るのが「すももゼリー」です。

きっかけは、食べきれないほど熟したすももが届いたことでした。

このままでは傷んでしまうし、何かいい方法はないかなと考えて思いついたのがゼリー。

作ってみたら息子にも大好評で、それ以来すももの季節の定番おやつになりました。

我が家の簡単すももゼリー

【材料】

  • すもも 2〜3個
  • りんご 1/2個
  • 水 300ml
  • 砂糖 お好みで
  • ゼラチン 5g

【作り方】

  1. すももは皮と種を取り除き、小さく切る
  2. りんごも食べやすい大きさに切る
  3. 鍋に水と果物を入れて軽く煮る
  4. 甘さが足りなければ砂糖を加える
  5. 火を止めてゼラチンを溶かす
  6. 容器に入れて冷蔵庫で冷やし固める

すももの甘酸っぱさと、りんごのやさしい甘さがよく合います。

そのまま食べるのとはまた違ったおいしさで、息子も毎年楽しみにしています。


偏食に悩んでいた頃の私は、「何かひとつでも好きな食べ物があれば」と願っていました。

その願いを叶えてくれたのが、たまたま散歩中に出会ったすももでした。

今では毎年旬を楽しみにし、ゼリーまで作るようになりました。

子どもの「好き」は、思いもよらないところから見つかるものなのかもしれません。

今年もまた、大石早生の季節を親子で楽しみたいと思います。

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